演奏者紹介コーナー  杉本寿久さん

〜笛と音楽をこよなく愛する〜

2001年「水郷松江古楽祭」にて

●自己紹介● 

 すぎもと としひさ

 アマチュア音楽愛好家。

 リコーダーとの出会いは小学校の音楽の授業で先生に過度に誉められたことによる(クラスで一番だった)。

 中学時代、音楽指導の先生がリコーダーに熱心な方であったので、卒業までリコーダーアンサンブルに没頭。朝から晩まで、時間さえあればリコーダーを吹いていた。ブリュヘンの演奏を聞き感激し、FMを色々聞いた。「朝のバロック」をチェックして学校へ行っていた。全音リコーダーピースを買っては見様見真似、聞き覚えで、ルイエ、ヘンデル、テレマン、ビバルディ等のソロ曲を吹いていた。

 NHKの「フルートとともに」を見たのがきっかけでフルートも独学で始める。この頃トラベルソは憧れの楽器で、確か大阪楽器からもらった写真を何度も眺めていたのを記憶している。

 高専時代は音楽部(吹奏楽)に所属するも、部員がほとんど居ず、部室にあった楽器全てを試しては遊んでいた。リコーダーは吹く機会も無くし楽器も触らなくなる。

 サラリーマンとなってから10年位は市民吹奏楽団でフルートを吹く位だった。その後フルートアンサンブルサークルがきっかけで、正式にフルートを習い、楽器も色々揃え、現在に至る。

 リコーダーは5年位前からサークルに参加して再開し、主に低音を吹く。一昨年購入したサブバスにはまっており、ルネサンスや初期バロックのリコーダーアンサンブルを楽しんで吹いている。また憧れのトラベルソも色々集めて現在木管で7本も持つに至った。

 腕前の方は、どうだろうか?石田さんにお任せします。




杉本寿久さん特選情報


「三田バロック」演奏会

////クラシック音楽のたのしみ////

〜バロックから古典派へ〜

チラシ


日時:
2005年6月26日午後3時開演

場所:
ささやま工房・風花(かざばな)
(兵庫県篠山市二階町89 TEL079-552-7287)

入場料:
無料


プログラム:

Mozart
「3本のバセットホルンの為のディヴェルティメント」より
kv.229a,229b

Johann Christian Bach
「フルート4重奏曲」より 
  
Mozart
  k.10−15 「クラヴィア・ソナタ(ロンドン・ソナタ 1−6番)」より
  k.27 「クラヴィア・ソナタ(ハーグ・ソナタ 2番)」
k. 598 歌曲「子どもの遊び」


ガンバアンサンブルによる3曲
Marin Marais 「 ロンド 」
   Anon 「Calabaza,no s&eacute」
グリーンスリーブス

ギターデュオ
(曲目未定)


 Carl Philipp Emanuel Bach 「フルート4重奏曲」より











■アマチュア音楽家の鑑  
〜〜杉本寿久さん〜〜



■杉本さんとの出合い

 杉本さんに初めてお会いしたのは2000年の春、ある古楽祭の練習会(広島で行われた)においてだった。私はその音楽祭でバッハやヘンデルのチェンバロ伴奏パフォーマンスを行う予定だったので、居合わせた人たちにそのへんの試作品を練習の休憩時間を利用して披露したのである。すると杉本さんは非常に興味を示してくださり、以来、仲良くしていただくようになった。

 個人的にフルート曲のピアノ伴奏を制作させていただいたこともある。そして、いつも「もっといろいろ作ってくださいよー」と言われているのだが、なかなかご期待に応えられないでいる。いつの日か杉本さんのような皆さんのために、モーツァルトのヴァイオリンソナタのピアノ伴奏を制作するのが私の大きな懸案のひとつなのだが、非才非力な身ゆえ、ついに果せぬ夢に終わるかも知れない。

 だが、杉本さんは、いつも変わらず私の活動にご理解をくださり、惜しみなく助力をくださってきた。CDや楽譜を貸していただいたり、いっしょに演奏で遊んでいただいたり、プロジェクトに対するアドバイスをいただいたり・・・杉本さんが助けてくださったことは数知れない。そう、お酒もよくおごっていただきましたねー杉本さん。


■こんなに音楽が好きな人はいない

 杉本さんは本当に音楽がお好きである。こんなに音楽が好きな人はなかなかいない。お持ちのCD、LD、楽譜などの数は膨大なものだし、古楽や笛の音楽に限らず、幅広くよく聴いておられ、その魅力をよく理解されている。エマニュエル・バッハ、クヴァンツ、クレメンティーなど、石田が杉本さんにその魅力を教えていただいた作曲家は多い。また、クリスティアン・バッハも、杉本さんを含むアンサンブルで演奏された五重奏曲を聴かせていただいたときに、その真髄を初めて知ったのである。杉本さんがフラウト・トラヴェルソで演奏された第二楽章の可憐なテーマは石田を震撼させた。音楽的な意味でも石田の恩人の1人なのだ。

 このように「本当に音楽を聴くのも演奏するのも大好き」な杉本さんは、それだけに、若い演奏家の卵たちが「いい音楽をぜんぜん聴いていない」と首をかしげる。楽器の練習はよくやっているが、好きで音楽を聴くということが少なすぎるのではないか、と心配されているのである。だから杉本さんは、音大などで学ぶ若い演奏家たちに心を配り、楽器や楽譜、CDなどを貸してあげるなどの援助も惜しまない。同時に、いろいろなすぐれた演奏家のレッスンを受けるのも熱心で、不定期だが著名な演奏家の個人レッスンも受けておられる。自分自身が鑑賞も演奏も楽しんで、自分の音楽性や技術を磨くことにも熱心、仲間といっしょに楽しむことにも熱心、そして後輩への援助も惜しまない。私が「アマチュア奏者の鑑」だと思うゆえんである。

 あと、杉本さんを語って抜かすことができないのは、フルートを中心とするすばらしい楽器コレクションである。フルートも時代とともに変化してきたわけだが、各時代のオリジナル楽器やコピー楽器のすぐれたものをいろいろお持ちなのだ。2001年の松江古楽祭で、それらの楽器を、知り合いなどから借り出した楽器とともに展示するブースを企画・担当されたところ、高校生など地元の若いフルートファンが熱心に通って杉本さんの教えを受けていた。

 楽器に対するこのような強い関心も、杉本さんの場合は常に音楽への愛に発している。吹いてみてすばらしい楽器だと思ったから、どうしても欲しいと思い、ずいぶんな額のお金を投じて購入されているのである。


■腕前もさることながら

 最後に、杉本さんに任されてしまった「腕前」のほうについて

 むろん、リーダーJPの指回り難度で言ってC3以上であるのは間違いない。中学生のころにテレマンの無伴奏ファンタジーを吹いていたという人に、指回りのレベルを私などが批評するもおこがましい。

 こういうかたの場合は、「指回り難度」などでははかれない音楽性が重要だろう。その点なら石田の守備範囲だなので、その点について言えば、杉本さんは、一聴したところ強い個性は感じさせないものの、よく聴いていると、「音楽が大好きだ」という気持ちがほのぼのと伝わってくるような演奏をされる。あまりわがままに振り回した演奏はしない、どちらかといえば「正確に端正に」という音楽的趣味のかたで、その点でも石田の好みに合う。すぐれた演奏家のレッスンをたくさん受けていらっしゃるというだけではなく、おびただしい数のすぐれた曲や演奏を聴いて楽しんでこられた方ならではの、派手さはあまりないが、正確でバランスのいい、妙なクセのない、気持ちのいい演奏をされるのである。

 リコーダーJPのために演奏してくださった演奏としては、製品「ロマン派名曲集 1」のCDに収録されている「ユモレスク」の「演奏例」がある。

 あのときは、スタジオに遊びに来てくださった杉本さんに、石田が「これが今度の新曲で、すてきなんですよー」などと言いながら松崎さんの「雪の夜に」をきいてみていただいたところ、「これはバスで吹いても良さそうだねぇ」とおっしゃってバスリコーダーで吹いてみてくださったりしていた。

 そうこうしているときに、「そうだ、ちょっと難儀してる曲があるので、杉本さん吹いてくれませんか。ぜひお願いしますよ」とお願いしてみたところ、「いいですよ」と快諾いただいたので、「これです」とユモレスクの楽譜をお渡しして、さっそくいっしょに録音ブースに行く。一度だけ通しのリハーサルをして、そのあとすぐに録音機を回し、2テイクで終わりだったのを覚えている。つまり、それぐらいのかたなのだ。おわかりいただけるだろう。

 杉本さんは石田にとって最高の理解者のひとりである。石田がモーツァルトを弾いたCDについても、一聴して石田の演奏の特長と価値を認めてくださったかたの1人であった。あれは、ある別な(MIDIを趣味とする一群の)人たちにけなされて腐っていたときだったから、杉本さんの批評でどんなに勇気づけられたかわからない。

 それやこれや、もし杉本さんがいなかったら、石田はリコーダーJPなんてやっていたかどうか、わからないぐらいのものである。これからも変わらぬご厚誼を願ってやまない。


2004年1月28日
リコーダーJP ディレクター MIDIチェンバリスト 石田誠司



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