ソナタ ホ短調 作品23-11
(試聴動画準備中)
Youtube のRJP応援チャンネル「リコーダーの底力」より
全曲の演奏(ノーカット)の試聴ができます。
★この曲を収録した伴奏音源つき楽譜★
ダウンロード製品 1860円(税込)
★解題★
J.C.シックハルトの「12のソナタ 作品23」は、1720年ごろに、アムステルダムで出版されました。「作品17」の12曲とともに、作曲者の壮年期を代表する充実した力作ぞろいの作品集です。
★解説★
5つの楽章から成っています。緩徐なテンポのプレリュード的な楽章に続いて4つの比較的速いテンポの舞曲4つを並べたという構成はシックハルトが得意とした形です。どの楽章も充実した内容で、シックハルトの個性がよく発揮された傑作だと思います。
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)4分の3拍子です。通奏低音による長い序奏に続いてリコーダーが長い吹き伸ばしをふくむ瞑想的なテーマを奏する開始は、バッハのロ短調のヴァイオリンソナタの最初の楽章を思いこさせますが、たぶんシックハルトのこの曲のほうが少し先に書かれており、出版もされていましたから、バッハがこの3歳年上の作曲家の曲を知っていてヒントにした可能性はあるでしょう。
第2楽章は4分の4拍子のアルマンドで、アレグロ(快活に)と指定されています。ところどころで華やかな効果を上げる技巧的な部分を織り込みながらキビキビと進んでいきます。演奏してとても気分のいい楽章ですが、途中のロ短調の部分などは厳しいクロスフィンガリングになるので、演奏はかなり難しいほうです。
第3楽章は4分の3拍子で、シックハルトが得意とした「付点の跳ねリズム」を貴重とするコレンテです。このタイプのコレンテ楽章を非常にたくさん書いた人ですが、その中でもこの楽章は規模の大きな力作だといえるでしょう。
第4楽章は再びアレグロで、8分の6拍子のジーグです。付点の跳ねるリズムや連続16分音符を用いないタイプの(イタリア風の)ジーグで、そうとう速いテンポで演奏する行き方もあるかも知れませんが、展開が面白くて力強い内容なので、あまり速いテンポで疾走してしまうよりも、いくらか落ち着いたテンポで力強く演奏するほうが、曲の良さが生きるのではないかと思います。収束でリコーダーが保続音をふくむオブリガート的な役割をする面白い趣向も含め、とてもかっこよく書かれています。
第5楽章は4分の拍子のガボットで、またもアレグロ。リズミカルに、かろやかに開始しますが、後半になると三連符の音型が導入されてスピード感が増します。第4楽章までで堂々と完結した感じの曲に、おまけのように短い楽章を追加するのは、すでにコレルリにも先例がある行き方ですが、まぁ「アンコール」みたいな気持ちがちょっとあるのでしょう。
★試聴ファイル★
リコーダー&MIDIチェンバロ: 石田誠司
※カッコ内の表示は「指回り難度」です。
第1楽章(B−1)
第2楽章(C−2)
第3楽章(C−1)
第4楽章(C−1)
第5楽章(C−1)
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