リコーダーJP C. ロジエ


ソナタ ハ短調
ベベル写本 第7番


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★この曲を収録したCDつき楽譜★
ダウンロード製品 620円(税込)
2310 リコーダー用 1800円+税



★解題★

 17世紀終わりごろのリコーダーソナタ 25曲を中心とする、チャールズ・バベルの写本(ロチェスター大学シブレー図書館所蔵)で、第7番として収録されているソナタです。


★解説★

 ひとまず、7つの楽章から成っているとみることができます。ただし、第1楽章は、第2楽章に対する導入(序奏)のような役割で切れ目なく第2楽章に続いていますし、第4楽章が、また第1楽章を途中から回想したような内容になっていて、いくらか不明確さが残っています。

 第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子で、ハ短調です。G−A♭−Fと進む2つの二部音符が凛とした響きで鳴りわたる開始から、4小節半ほどの主題を示します。そして、おもに主題の後半部の動機を扱って語り進め、やがてしめくくるのかと思いきや、そのまま止まらずに第2楽章のイントロへ続きます。

 第2楽章はパッサカリアと題され、2分の3拍子です。重厚に演奏する行き方もあるかも知れませんが、RJPではかなり速いテンポを採用しました。最初に示された低音パターンが何度も出てくるという点では、パッサカリアやシャコンヌの特徴を持っていると言えます。が、途中で下降ゼクエンツのパターンも出てきて重要な役割をしますし、何より独奏楽器の旋律線は主として同じことを繰り返していて変化を加えられていないなどの点で、ふつうのパッサカリアとは趣が違います。

 第3楽章はカンツォンと題され、4分の4拍子です。1オクターブにまたがって下降する音階の上で、リコーダーが細かいリズムの主題を奏でますが、それをいくらか模倣しつつ低音が短く応答。以下、長短さまざなまに変化させた提示と応答が行われながら音楽が進みます。

 第4楽章は、第1楽章を再び途中のト短調の部分から始めて、いくらかつづめながらもう1度なぞったような楽曲です。これで終わっていれば、A-B-C-A' という形にまとめられたコンパクトなソナタになりそうです。

 第5楽章はアリアと題され、2分の拍子です。音階で下っていく低音(第3楽章の思い出させます)に乗ってリコーダーが示した動機を受けて低音が同度(2オクターブ下)で模倣して始まり、リコーダーが、あらためて同じ動機から始まる8小節ほどの主題にまとめます。以下この主題を扱って語り進め、最後はもう1度この主題を(後半に変奏を加えながら)再現して終わっています。歌謡性が強く、リズムも生き生きと躍動する佳品で、実はヘンリー・パーセルのオペラ「妖精の女王」のアリア「Thus the ever Grateful Spring」をそのままソナタ楽章に取り入れたものです。ロジエが引用したのか、写譜屋のバベルの仕業なのか。

 第6楽章はアレグロ(快活に)と指定され、4分の3拍子です。ほぼ1拍子で感じられるほど速いテンポが合うでしょう。舞曲風の形式にまとめられており、前半・後半それぞれに繰り返しの指定があります。実に颯爽とした味わいです。

 第7楽章はスビト(すぐに)と指定されていますから、第6楽章が終わったら間を置かずすぐに演奏を始めるのが良いのでしょう。4分の6拍子ですので、第6楽章のテンポを受けて、ほぼ同じテンポで演奏することになりそうです。力強い開始から、途中、やや不思議な(テンションの高い)和声になる箇所を通って、やや軽くステップするような趣も取り入れつつ語り進めます。堂々たる風格の終曲です。


※演奏例がお聴きいただけます

■リコーダーによる演奏
第1楽章(B1)
第2楽章(B2)
第3楽章(C1)
第4楽章(B1)
第5楽章(C1)
第6楽章(B2)
第7楽章(B3)

※カッコ内は指回り難度です。
※リコーダー演奏:
石田誠司 (アウロス509B使用) 
 チェンバロ演奏: 石田誠司 (使用楽器はRJP所有のデジタルサンプリング音源)


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