リコーダーJP アルベルティ作品


ソナタ ト長調


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★この曲を収録したCDつき楽譜★
2269 リコーダー用 1800円+税
ダウンロード製品 620円(税込)



★解題★

 近年発見されて注目された「ハラッハ・コレクション」のなかから、ボローニャの作曲家・ジュゼッペ・マッテオ・アルベルティの作と記されたアルトリコーダー用ソナタがみつかりました。本作がそれです。


★解説★

 5楽章から成るソナタで、第2楽章・第4楽章が、長大で、音が多く、しかもブレスが難しいという、いろいろとたいへんな曲ですが、独特の爽快感があって、練習しがいがあります。おそらく元はヴァイオリンソナタだったものを、わざわざリコーダー用に編曲して演奏しようとした18世紀人の気持ちはわかるような気がします。

 第1楽章は4分の4拍子で、発想記号がありませんが、ゆったり目の曲でしょう。天からゆっくりと舞い降りてくるような分散和音のモチーフと、リズミックなモチーフを組みあせて音楽がつくられています。これから始まる長大なソナタの、少し軽い前奏曲のような感じです。

 第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の4拍子です。最初に示されるテーマは、第1楽章の「舞い降り」のモチーフをふまえています。そして、分散和音を駆使して和声の移り行きで語っていく音楽がえんえんと続いていきます。ブレスのための時間はありませんので、ブレスの前後を端折り気味に(急ぐか、または音を省くか)してブレスをとるしかありません。演奏は大変ですが、爽快きわまる名品です。

 第3楽章はラルゴ(広々と)、8分の3拍子です。8分の3拍子でラルゴというのはかなり珍しい指定で、どんなテンポで演奏するのかちょっと迷いますが、メヌエットのように速くではなく、少し落ち着いた感じなのでしょう。明暗の対比がよく利いた佳品です。

 第4楽章は4分の3拍子で、ふたたびアレグロです。第2楽章とこの楽章とが圧倒的な存在感で、曲全体を支える屋台骨か柱のようなものと言えるでしょう。火を噴くような勢いのあるテーマで始まります。いち段落したあと、二連符の低音に対して三連リズムで2声の旋律をリコーダーがかなでる部分が長く続きます。前半が繰り返されたあと、後半も「三連リズムで2声」の箇所が多くなっています。音楽に区切りをつける終止カデンツを、連続4度も繰り返して念には念を入れるのが印象的です。

 第5楽章は4分の2拍子で、これもアレグロです。軽快なテーマを扱う短い終曲ですが、後半に出てくる目の覚めるような速い音階(クロスフィンガリングが含まれていて、ちょっと難しいです)が、かっこいいな‥‥‥と思うと、案の定それを3度も繰り返すところが、いかにもヴァイオリニストらしい語り口。「おおっ、かっこいいぞ」と思うと、「よし、もう1回! えーいおまけにもう1回だ!」なのです。しかし、楽しさ満点で魅力あふれるすばらしい終曲だと思います。


※演奏例がお聴きいただけます
■リコーダーによる演奏
第1楽章(B−2)
第2楽章(C−2)
第3楽章(B−2)
第4楽章(C−2)
第5楽章(C−2)
 ※カッコ内は指回り難度です。
 ※リコーダー演奏: 石田誠司  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司



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