リコーダーJP J.S.バッハ作品


ソナタ 変ホ長調 BWV1031


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★この曲を収録したCDつき楽譜★

RB-010A リコーダー用  900円+税(絶版)
1010 リコーダー用 1800円+税
SR-028 リコーダー用  3800円+税
SF-003 フルート用 2400円+税

SF-025 フルート用 3800円+税


★解題★

 残っている古い清書譜はフラウト・トラヴェルソ(フルート)とオブリガートチェンバロのためのソナタとしてのもので、J.S.バッハの作品であると記されています。しかし、作風がJ.S.バッハらしくないと言われ、新しいバッハ全集では真作であるかどうか疑わしい作品と位置づけられてしまいました。すぐれた作曲家であった息子C.P.E..バッハの作品ではないかと言われたり、あるいは彼と、父J.S.バッハとの共作ではないかと言われたりしています。

 しかし、そのような議論とは無関係に、第二楽章の美しいシチリアーノはピアノ曲への編曲などを通じて「バッハのシチリアーノ」として広く愛好されてきましたし、曲自体がすぐれた作品であるのは誰もが認めるところです。そのせいもあって、「やはりJ.S.バッハの真作だ」と主張する説を発表する学者は跡を絶ちません。もし大バッハの真作だとすれば、作風から考えても、新しい音楽のスタイルを取り入れた、かなり晩年の作品であろうと考えられます。

 また、フルート曲にしては比較的音域が低いうえ、調性が当時のフルート(フラウト・トラヴェルソ)では比較的演奏しにくい変ホ長調で書かれていることなどから、もともとはオーボエなど他の楽器のために書かれたものではないか、とも考えられます。(この点ではBWV1020のソナタについてもほぼ同じことが言えます。)

 いずれにせよ、バッハの時代には、ある独奏楽器のための作品を(適当な移調などを行った上で)他の楽器で演奏することはよく行われていましたし、バッハ自身、ある曲を他の楽器用に移植することをしばしば行いました。リコーダーで演奏してみますと、劇的な表情はやや後景にしりぞくかわり、この曲の持つ軽快な味わいがよく感じられます。


★解説★

 J.S.バッハの作品であるとすれば、彼の作品の中でも屈指の叙情的な旋律美と親しみやすい雰囲気が大きな特徴です。第二楽章「シチリアーノ」のメランコリックな情緒はすでに広く親しまれてきたところですが、実に人懐こい表情をたたえた第一楽章といい、軽やかに音たちが舞う第三楽章の小気味よい運動性といい、どの楽章も魅力にあふれた名作です。

 曲は3楽章からなっています。

 第1楽章はアレグロ・モデラートと指定され、ここちよい速度感で演奏されます。長い前奏があり(このへんがJ.S.バッハ「らしくない」ところの一つではありますが)、やがて、柔和でありながらくっきりとした感じのテーマが奏でられます。チェンバロと独奏楽器とのかけあいも楽しく、仲良く対話するように音楽が進みます。途中2度の間奏をはさみ、曲が3つの部分からできている印象は、のちに発達した「ソナタ形式(提示部・展開部・再現部の3部分から成る形式)の初期の形を思わせます。

 第2楽章は「シチリアーナ」と指定された、ゆったりしたテンポの「8分の6拍子」の曲です。シチリアーナとは「シチリアふう舞曲」のことで、イタリアのシシリア島で行われていた音楽の感じを取り入れたものです。20世紀の名ピアニストたちは、この曲をピアノ用編曲でよく演奏し、コンサートのアンコールなどでは大変人気のあったレパートリーの一つでした。一度聴いたら忘れられない美しいメロディーが心に沁みます。

 第3楽章は「アレグロ」で、活発な感じで快速に演奏されます。めまぐるしく音がとびかい、華麗に舞う舞曲ふうの音楽で、ここでもチェンバロと独奏楽器の対話がよく生きて、楽しい雰囲気を盛り上げていきます。


※ 演奏例がお聴きいただけます

■リコーダーによる演奏(ヘ長調)
第1楽章(B−3)
第2楽章(B−1)
第3楽章(C−1)
※カッコ内の表記は指回り難度です
※リコーダー演奏: 中村栄宏さん  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司


■フルートによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
※フルート演奏: 大塚由貴  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司


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