W.A.モーツァルト
ソナタ ト長調 KV293a(301)


★この曲を収録したCDつき楽譜★

SV015 ヴァイオリン用 2800円+税
SV023 ヴァイオリン用 3800円+税
SF023 フルート用 2800円+税
SF027 フルート用 3800円+税


★解題★

 原曲はヴァイオリンソナタですが、フルートへの編曲譜がいくつもの出版社から出版されており、フルートでもたいへん美しく演奏できます。

 モーツァルトのヴァイオリンソナタは、この不世出の天才が、その輝かしい才能を最も存分に発揮したジャンルのひとつであり、この点でオペラやピアノコンチェルトと肩を並べると言っても過言ではありません。モーツァルトはウィーンきってのピアニストとして活躍しましたが、彼のひらく演奏会はピアノソロだけで構成されていたのではなく、むしろコンチェルトや歌を含むアンサンブル曲がたくさんプログラムに載っていました。幼少のころから家族(ヴァイオリニストであった父、ピアノが上手だった姉)や(父の)友人たちとアンサンブルを楽しみながら成長したモーツァルトは、「ピアノと他の楽器のアンサンブル」の曲を書くのがいちばん楽しかったのかも知れません。

 そう言うと「でもヴァイオリンソナタではモーツァルトが弾くピアノは伴奏なのでは?」とお感じのかたもいらっしゃるかも知れませんが、実はモーツァルトの「ヴァイオリンソナタ」は、「ヴァイオリンの伴奏をもつクラヴィーアソナタ」と題されていたぐらいで、ピアノはけっして単なる伴奏ではなく、ヴァイオリンと協力して音楽をつくる二人の主役のうちの1人でした。そして、ピアノとヴァイオリンのためのソナタというジャンルにおいて、これらのモーツァルトのソナタこそがその理想の姿を示していると考えられています。

 KV301のソナタは、1778年にパリで出版された「マンハイム・ソナタ」のうちの1曲です。伸びのびといかにもモーツァルトらしい人懐こさで歌う第1楽章、8分の3拍子のワルツふうの第2楽章から成り、演奏家たちが録音や演奏会プログラムに取り上げる頻度も高い人気の作品です。


★解説★

 第1楽章はアレグロ・コン・スピリート、4分の4拍子ですが、むしろ2分の2拍子のように流れていきます。アウフタクトで始まるテーマの伸びやかな魅力はうっとりするしかありません。フォルテのエピソードを挟んでピアノにメロディーが移り、ついでリズミックな経過句をはさんでから16分音符で軽やかに上り下りする第2テーマまで、モーツァルトらしい可憐な音楽がぎっしりです。続く展開部は短調に傾き、さらに新しいテーマも導入して起伏のある展開をみせます。再現も単なる繰り返しに終わらず工夫をみせています。

 第2楽章はアレグロ、8分の3拍子で、軽やかな3部形式の曲です。テーマは分散和音と下降音階を組み合わせた魅力的なモチーフで、第一部分はこのテーマをいろいろにもてあそびながら音楽がつくられます。対して短調の中間部は流れるようなピアノ伴奏に乗って付点のリズムを含むほの暗いテーマを奏する、弱音を基調とする音楽です。ゆっくり演奏したらシチリアーノのようになるかも知れませんが、そこまでゆっくり奏するわけにもいきません。やがて最初の部分が戻り、さらに続いてはなやかなコーダが全曲をしめくくります。

※ 演奏例がお聴きいただけます

■ヴァイオリンによる演奏
第1j楽章
第2楽章
※ヴァイオリン演奏: 棚田めぐみ  ピアノ(電子楽器)演奏: 石田誠司


■フルートによる演奏
第1楽章
第2楽章
※フルート演奏: 大塚由貴  ピアノ(電子楽器)演奏: 石田誠司





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