リコーダーJP G. F. ヘンデル作品


ヘンデル
ヴァイオリンソナタ ト短調 作品1-10

★この曲を収録したCDつき楽譜★

SV016 ヴァイオリン用 2400円+税
SV029 ヴァイオリン用 3800円+税

★解題★

 ヘンデルのヴァイオリンソナタは、いわゆる「作品1」にぞくする、作品1−3、1−10、1−12、1−13、1−14、1−15を合わせた6曲とされてきたのですが、他にも自筆譜がみつかったりした曲がいくつかありますので、最近の演奏家がヘンデルのヴァイオリンソナタをまとめて取り上げるときには、それらの曲も演奏されるのが普通です。逆に、作品1−10、1−12、1−14、1−15については、自筆譜がみつかっていないうえ、当時の人の手で楽譜に「ヘンデル氏の作ではない」とメモ書きされているのがみつかったりしたため、真筆でない疑いも持たれており、除外して扱われることが多くなりました。

 そもそもヘンデルの「12のソロ 作品1」は1730年ごろアムステルダムのRodger版として出たのが最初ですが、これはロンドンのWalshがヘンデルにもRodgerにも無断で出した、一種の海賊版だったとのことです。次いで数年のちに、そのうち2曲のヴァイオリンソナタを別の2曲のヴァイオリンソナタに差し替えてWalsh版が出版されました。さらに旧ヘンデル全集(クリサンダー版)では、両版をあわせた計14曲に、新たに1曲のヴァイオリンソナタ(ニ長調・作品1-13)を加え、15曲から成る「作品1」を構成したのです。

 ずいぶんややこしい成立経緯ですが、これは元はと言えばWalshが「合計12曲」という体裁にこだわったために無理して曲をかき集めたのが原因だとされています。


★解説★

 作品1−10は自筆譜がみつかっていないなどのため今日ではヘンデルの作かどうかが疑われているとのことですが、長年にわたってヘンデル作として親しまれてきました。今でもよく録音されたり演奏されたりしています。

 第1楽章はアンダンテ(歩くような調子で)。4分の4拍子で、動きのあるテーマを扱い、後半にかけて転調を重ねながらしだいに切迫感を強めていきます。イタリアの「ナポリ楽派」の影響が感じられると言ってよいでしょうか。

 第2楽章はアレグロ(快活に)で、4分の4拍子。弾むようなモチーフ、なだらかな2分音符の動き、そしてリズミカルな16分音符のパッセージと、多彩な材料を用いて音楽をつくりあげます。手堅く小粒にまとめられた印象の楽章です。

 第3楽章はアダージョで、4分の3拍子。バロックらしい気品あるメロディーで、前半8小節とその繰り返し、後半8小節とその繰り返しという構成です。繰り返しのさいにはいろいろはなやかな変奏を行なうことも考えられます。

 第4楽章は発想記号がありませんが、おそらく速く奏される8分の12拍子のジークふうの音楽です。冒頭、低音が16分休符ぶん遅れて入る奇抜な開始に驚かされ、以下はヴァイオリンらしいはなやかな奏法を披露しながら劇的に音楽が進みます。


※ 演奏例がお聴きいただけます

■ヴァイオリンによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
※ヴァイオリン演奏: 串田えがく  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司


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