初級者のための、楽しくためになるコラム
VIVA! リコーダー その9

ブレス





■息を吸う位置

 ブレスとは「呼吸」のことです。リコーダーJPの楽譜では、必要に応じて「V」の記号で示してありますが、「コンマ」の記号で示されることもあります。

 このほか、休符のところではブレスができます。そこで、現代曲でも、休符のところは暗黙のうちにブレスしてもらう(ブレスしてもよい)位置として考えられていますので、適当に休符がちりばめられている曲では、ブレス記号がまったく書かれていないこともめずらしくありません。

 クラシック曲では作曲者がブレスの位置を示していないことが多く、奏者の判断にまかされています。曲によっては、ほとんど休符がないため、楽譜をちょっと見ただけでは「どこで息を吸ったらいいのかさっぱりわからない」ということがよくあります。


■フレーズの切れ目を考える

 そこで大切なのは、「フレーズ」のとらえかたです。「これは一続きで吹きたいな、途中で切りたくないな」と思う範囲については、ひと息で吹くようにして、「ここはちょっと区切りが入ってもしょうがないな」という場所ですばやく息を吸うようにするわけです。

 その判断は奏者にゆだねられていることになりますが、ひとつの提案として、リコーダーJPの楽譜では、ブレス記号を入れてみていることもあります。


■ブレスの寸前の音をはしょる

 ときには、なかなか音に切れ目がなく、しかも細かな音符が続いているので、ちゃんと音符をぜんぶ吹こうとすると、息を吸う間がない・・・というような場合があります。そういうとき、ブレスの位置を決めても、どうしても「ブレスの前の音」か「ブレス後の最初の音」かを、多少短くしたり、場合によっては「鳴らすのをあきらめる」ことを余儀なくされることがあります。

 こういう場合は、「ブレスの前の最後の音」を省略するのが普通です。できればやりたくない方法ですが、音楽の流れが十分に出ていれば、鳴っていなくても鳴っているように思ってもらえるものです。


■息があまる

 リコーダーの場合、演奏に必要な息の量が比較的少ないので、曲によっては、ふつうに息を吸っていると、次のブレスのポイントまでに息が使いきれず、「息があまってしまう」という現象がおこることがあります。

 これはとても苦しいことなので、リコーダー奏者にとって悩みのタネですが、「息をたくさん吸いすぎないようにする」「演奏しながら鼻から少し息を抜いてしまう(あまりよいことではなさそうですが)」「苦しいのを我慢する(!?)」など、いろいろな回避策がありますので、それらを適宜組み合わせて、乗りきり方を工夫するしかありません。

 演奏の美しさが最優先なので、「息が余らないように、笛にたくさんの息を入れる」というのは、まずいわけですね。


■おなかがふくらむ息の吸い方=腹式呼吸

 最後に、いちばん基本的なお話です。

 ご存知のかたが多いと思いますが、人間の息の吸い方には二通りあって、ひとつが、息を吸うと胸がふくらみ肩が上がる「胸式呼吸」、もう一つが、息を吸うとおなかが出る「腹式呼吸」です。

 息を使って音楽を演奏するとき・・・つまりは歌う場合と管楽器を吹く場合ですが・・・には、「腹式呼吸」がよいとされています。そのおもな理由は、息を出すときの微妙なコントロールが、腹式呼吸のほうが行いやすいからでしょう。

 一般に、ふだん無意識に呼吸しているとき、男性は腹式呼吸をしていることが多く、女性は胸式呼吸をしていることが多いと聞いたことがありますが、どうなんでしょうか? ともあれ、演奏のときはなるべく「腹式呼吸」になるように、こころがけてみてください。

 実のところ、管楽器の演奏において、呼吸法というのはかなり大事なことで、先生にレッスンを受けると、呼吸法にかなりの指導時間が費やされることも少なくないほどなのですから、演奏技術におけるひとつのテーマとして意識しておいていただければ・・・と思います。



リコーダーJPディレクター 石田誠司  

  

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