-----------------------------------------------------------------  リコーダーJP メールマガジン                         026号 2005.2.20. ----------------------------------------------------------------- ★ごあいさつ★  光の春から本当の春へ。少しずつ春のきざしが感じられる今日このご ろです。みなさまお元気でしょうか。  いつもご愛読いただきまして、ありがとうございます。またご無沙汰 気味になりまして、申し訳ありません。メールマガジン26号をお届けい たします。 ■目次■  <ごあいさつ>  1 新製品ラッシュ……かな?  2 「ヘンデル リコーダーソナタ全曲」が完成!  3 雑文:通奏低音における禁則のこと  4 ヤマハ銀座店さん・楽譜売り場でRJP製品取り扱いへ  5 森好美さんの作品再演のある演奏会  6 近藤浩平さん・作品演奏会  7 現在準備中の製品  8 編集後記 …………………………………………………………………………………… ★1 新製品ラッシュ……かな?★ ……………………………………………………………………………………  前号からまた2か月以上が経ってしまったのですが、その間はRJP 始まって以来のペースで新製品をリリースしてきました。全力を新製品 開発に傾注していたのです。  年明けから2月中旬までに発表・発売した製品は次のとおりです。 ■グレートクラシックス シックハルト ソナタ3番    http://www.recorder.jp/classic/cs203.htm ■グレートクラシックス シックハルト ソナタ4番    http://www.recorder.jp/classic/cs204.htm ■グレートクラシックス ルイエ ソナタ 作品1−2    http://www.recorder.jp/classic/cl102.htm ■グレートクラシックス ルイエ ソナタ 作品1−3    http://www.recorder.jp/classic/cl103.htm ■グレートクラシックス ルイエ ソナタ 作品1−7    http://www.recorder.jp/classic/cl107.htm ■グレートクラシックス サンマルティーニ デュオソナタ 7番    http://www.recorder.jp/classic/cs107.htm ■クラシックBest テレマン ソナタ ハ長調(忠実な音楽の師)    http://www.recorder.jp/classic/ct104.htm ■コンテンポラリー 森好美作品集    http://www.recorder.jp/newlineup/contemporary.htm#006 ■コンテンポラリー 赤松義夫作品集    http://www.recorder.jp/newlineup/contemporary.htm#005 ■オリジナルズ 松崎泰治「海の向こうへ」    http://www.recorder.jp/originals/m0204.htm  今後もクラシック曲製品については、これに近いぐらいのリリースペ ースを維持していきたいと思っています。  これぐらいで何とか、以前お約束していた「新製品ラッシュ」と呼べ るでしょうかね?(^_^; …………………………………………………………………………………… ★2 ヘンデル リコーダーソナタ全曲が完成!★ ……………………………………………………………………………………  ト短調とイ短調の2曲から出発して、停滞したり道草食ったりいろい ろしながら、ようやく3年越しで、ヘンデルのリコーダーソナタ(6曲) がすべて完成の運びとなります。最後は「フィッツウィリアム・ソナタ 第1番 変ロ長調 HWV377」です。間もなく(2月23日)発売となり ます。 http://www.recorder.jp/classic/ch106.htm  フィッツウィリアムソナタは、あと2番と3番がありますが、これら は既刊のソナタとの重複楽章が多く、単体製品としては発売予定があり ません。ただ、いつか「ヘンデル ソナタ全集」という形にまとめたも のが作れたら、そこにはフィッツウィリアムソナタの2・3番も収録で きたらいいなと思ったりしております。  いずれにせよ、全集をもし出すことができましたら、今までCDブッ クのシリーズでお求めいただいてきた皆様には何か特典をもうけるなど していきたいと考えて、思いめぐらせています。 …………………………………………………………………………………… ★3 雑文:通奏低音における禁則のこと (石田誠司)★ ……………………………………………………………………………………  チェンバロで通奏低音を実施し演奏していると、「こうやりたいけど いちおう禁止事項だからなぁ・・・」と思って迷うことがあります。  具体的には「平行(連続)5度の禁止」とか「平行(連続)8度の禁 止」といったもの、あるいは「導音重複の禁止」とか「限定進行音の進 行違反の禁止」、ほかに「準備のない非和声音(不協和音)の禁止」と か「増音程進行の禁止」とか「第1展開形での第3音重複の原則禁止」 とか・・・  「そりゃ一体何のことだ?」と思われる皆様もいらっしゃると思うの ですが、要するに、ルネサンス時代からバロック時代にかけて、「美し い音楽をつくるための方法」がいろいろ研究され確立されていき、その ことが理論(対位法、和声法など)としてまとめられていったのです。 その理論の教科書によると、上でのべたような音の鳴らし方は「禁止」 されているのです。  しかし、これらの決まりは、のちに次々と「まぁいいじゃん」という ことで、捨てられていきました。すでにバッハには増音程などいくらも 見られるようになりますし、モーツァルトには平行5度が出てくる曲と かすごい不協和音がいきなり出てくる曲がいろいろありますし、さらに ベートーヴェンはもっとたくさんの決まりを捨てました。そしてロマン 派の作曲家がもっとつぎつぎに捨てていき、ついに19世紀末から20世紀 にかけての作曲家たちは、根本的なところでバロック〜古典音楽の音の 重ね方や進めかたの法則を、そっくりまるごと全て投げ捨ててしまうに 至りました。  それで、通奏低音を弾いて(実施して)いますと、いろいろ「こう弾 いてみたい(弾かせてみたい)な」と思う音を書いたり弾いたりしてい るうちに、上記のいろいろな決まりを破ってみたくなるところがよく出 てくるのです。または、「こう弾くとカッコイイ(キレイだ、イカス、 など)な」と思うのに、あとで見ると、それに「規則違反」が含まれて いて、規則を守ろうとすると、どうしてもやりたかった弾き方ができな かったりとか・・・  しかし実は、こういう点については、石田がいちばん臆病だったので す。森さんやきゃっつさんは、もっとしっかり覚悟を決めて、やってき てくださいました。  たとえば・・・森好美さんに初めてやっていただいた通奏低音実施は ルイエの作品1−4のソナタだったのですが、この曲の第4楽章の冒頭 ページには、思わずあっと息を呑むような「むき出しの平行5度」が滅 多やたらと出てきます。石田はおそるおそる森さんに「これ、このまま でいいですか」と尋ねましたが、森さんは「わかっててやってることで すから。石田さんが気になるなら直してくださっていいですけど」とい うお答え。もとより石田に森さんが書いてくださった弾き方以上にいい 考えがあるわけもなく、「わかりました、このまま行きましょう」とい うことになりました。  きゃっつさんからいただいた実施も、音のぶつけ方、進行のしかたに は、バロック作家ならやらなかったような現代的な個所がたくさんあり ました。きゃっつさんも「バロック時代にはなかった弾き方だとわかっ てますけど・・・」と多少気にしていらっしゃったのですが、しかし音 楽の生彩は文句なくすばらしかったですから、石田は意を決して、きゃ っつさんに「これ面白いです。これで行きましょう」と言いました。  このように、森さんもきゃっつさんも、バロック作品を前にしたとき、 「自分ならどう弾きたいか」を考え、その考えに対して誠実に取り組ん でくださったのです。これこそが音楽に対して真摯な態度であるのは言 うまでもありません。  なのに石田がいちばんうじうじと気にしていたのです。しかも、上記 のような理論の勉強は石田がいちばん中途半端で、弾きたいように弾い ていると、「知らないうちに(つまり、うっかり)」禁止違反をやって しまっているようなことも少なくありませんでした。後で気付くと、そ のたびに「どうしようかな・・・」と悩み、直して伴奏を録音しなおし たこともありますし、いちばんひどいときは、楽譜だけこっそり直した りしました(つまり録音されている伴奏と印刷してある楽譜が少し違う ところのある製品が、今でもあります)。  しかし、最近バロックソナタを続けさまに制作していて、自分でもい くつもの通奏低音を実施しながら弾いているうちに、ようやく石田も腹 をくくりました。もう気にしないことにします。 ●昔の禁止事項など守らなくても、キレイなものはキレイだ! ●現代の音楽家として「楽しいと信じるもの」を誠実に作りたい! ●バロックのスタイルと違っていても、そのおかげで現代人にとって楽  しいものができれば、それでいい!  そういうわけで、今回のヘンデル「フィッツウィリアム」では、石田 は意図的に、平行5度や導音重複および平行8度をやりました。その個 所について、そう弾くことで、よい効果があると思ったからです。ほか に、サンマルティーニ7番では原作に校訂を加え、原典にない臨時記号 の追加を行った個所があります。いずれも「音楽として、このほうが楽 しい」と思ったからです。  リコーダーJPの通奏低音実施陣は、これからも「現代人のための現 代的実施」をめざして行きます。それが、すばらしい古典の遺産を現代 に生かす上で、私たちに可能な唯一の誠実な取り組み方だと思うからで す。  むろん、古いスタイルを探求し、その再現をめざすというアプローチ で古典作品を現代に生かそうとしている人たち(つまり「古楽」の人た ち)の取り組みの姿勢を批判するつもりは毛頭ありません。それどころ か、その演奏ぶりにいろいろ教えられることや感心することもあります。  しかしそれでも、結局のところ石田は石田の、きゃっつさんはきゃっ つさんの、森さんは森さんの、自分自身の音楽性に照らして「これが最 良」と思う弾きかたをする以外はありません。「誠実にやろうと思った ら」それ以外には弾きようがないのです。古楽の皆さんの演奏からも、 感心した点は学び(つまり真似)ますが、そうでないところは真似ませ ん。正直、「なぜこの楽譜をもとにああ弾きたいのか全く理解できない」 と思う演奏も(「大家」と目されるかたの「名演」といわれる演奏にお いてすらも)、少なくないからです。  そういうことで、あとは使ってくださった皆様のご批判に委ねます。  専門家の皆さんからのご意見は、ある意味、あらためていただかなく てもよーくわかってますので(笑)、私たちは「使ってみてくださった アマチュア愛好家の皆さん」のご感想だけが気になります。そして、今 までのところ、多くの皆さんは「楽しい、きれいだ」と思ってくださっ ているように思っております。 …………………………………………………………………………………… ★4 ヤマハ銀座店さん・楽譜売り場でRJP製品取り扱いへ★ ……………………………………………………………………………………  年末の、ヤマハ銀座店恒例の「リコーダーフェア」ではRJP製品を 約200点並べていただき、うち100点以上を買っていただくことができま した。お客様として買ってくださった皆様、本当にありがとうございま した。  おかげさまで、ヤマハ銀座店さんは、今後楽譜売り場でRJP製品を 置いてくださることになりました。もっとも、RJP製品は多品種なの で、全品目を並べていただくのは無理のようなのですが、比較的新しい ものを中心に置いていただけるようにしたいと思っています。  実際にお店に並ぶのは、まだ今から数週程度かかるかも知れませんが、 春までには並べていただけると思います。また、取り寄せ注文にはすで に応じていただけます。  首都圏の皆様、お待たせいたしました。おついでのさいにはヤマハ銀 座店さんでRJP製品をぜひお手に取ってごらんいただきますよう、ま たぜひご利用いただきますようお願い申し上げます。 …………………………………………………………………………………… ★5 森好美さんの作品再演のある演奏会★ ……………………………………………………………………………………  森好美さんの作曲作品「黄色のことり」(フルートとピアノのための 曲)が再演される演奏会です。 日時:2005年2月27日(要予約) 場所:創徳庵(大阪市北区) 06-6485-0045 入場料:2500円(お茶・お菓子つき) お問い合わせは創徳庵まで http://www.recorder.jp/composerm01.htm#topics …………………………………………………………………………………… ★6 近藤浩平さん・作品演奏会★ ……………………………………………………………………………………  近藤さんの「作品個展 U」です。好評の作品再演と、ヴィオラ伴奏 の歌曲やヴィオラとチェロの二重奏などの初演作品から成り、若く優秀 なMU楽団の皆さんの演奏。関西の皆さんぜひお聴きのがしなく! 日時:2005年3月5日(土)19時開演。 場所:クレオール(神戸北野)    078-251-4332 詳細はこちらです http://members.aol.com/R5656m/plan.htm …………………………………………………………………………………… ★7 現在準備中の製品★ ……………………………………………………………………………………  現在準備中・制作中の製品はつぎの通りです。 ■ルイエのソナタ ニ短調 作品1−8 品番(予定)RG-015 ■マルチェロ ソナタ ハ長調 作品2−6 品番(予定)RB-016 ■松崎泰治 組曲「過ぎ行く季節に」 品番(予定)RC-009 ※ マルチェロのソナタにつきましては、通奏低音実施陣として新たに  加わってくださった松崎泰治さんの通奏低音実施でお楽しみいただけ  ます。響きに対する鋭敏な感覚を持つフレッシュな音楽性の松崎さん  の才能が発揮された美しい実施が出来あがってきています。どうぞお  楽しみに! ※ その松崎さんの組曲「過ぎ行く季節に」は、既刊4曲の小品をまと  めたものです。3月前半中には発売できると思います。 ※ なお、「制作の進行状況」のページで、各製品の制作作業の進捗状  況をお知らせしておりますので、あわせてごらんください。 http://www.recorder.jp/project/projectdiary.htm …………………………………………………………………………………… ★8 編集後記★ ……………………………………………………………………………………  またまたメルマガが2か月ぶりになってしまいました。すみません。  制作にかまけているとメルマガが滞ったりサイトの更新が遅れたりで、 いつもお詫びしてばかりです・・・。どうも石田はバランス良く破綻な くいろいろなことをやるというのが苦手で、頑張って仕事していても、 何かひとつのことに集中してしまって他がおろそかになったりしがちな、 不器用な人間です。  だから本当は、「通奏低音をMIDIチェンバロで弾く」という、これだ けをやっていたかったんです。通奏低音実施も(まぁこれは自分でも少 しはやるとしても)、録音もミキシングも、楽譜制作も印刷も製本も、 それぞれ得意な人や業者さんなどがいらっしゃいますから、そういうか たにやっていただくようにしたいと考えていたのです。  とこれは、またまた古い繰り言なのですが、しかし! 実を言います と、いまこうやってかなりのスピードで製品リリースがやれるようにな ってきた理由の一つは、そういう「分業」の方向へと少しずつ進むこと ができているから、という点にもあるのです。  でも、RJPにはあいかわらず全然お金がないのに。なぜ?  それはつまり、RJPサポーターの皆さんが、ほぼ完全に無償ボラン ティアで、たとえば演奏例の笛の演奏、通奏低音演奏の下制作、楽譜の 下制作など、いろいろなことについてお手伝いくださっているからなの です。お礼なんて「お手伝いいただいていた製品を、完成の暁には差し 上げます」ぐらいしかできないことが多いのに、本当にありがたいこと です。  サポーターさんたちは、石田の心の支えでもあります。サポーターの 皆さん抜きにリコーダーJPはあり得ません。  というわけで、サポーターさんを常時募集中です。メルマガ以上に 「ぶっちゃけた報告、相談」満載の「サポーター通信」は、いわばリコ ーダーJPメールマガジンの「内輪版」で、サポーターの皆さんには直 接BCC送信で配信しています。  かつて岩波茂雄氏は、岩波文庫創刊にあたって、「その性質上経済的 には最も困難多きこの事業にあえて当たらんとする吾人の志を諒として、 その達成のため世の読書子とのうるわしき共同を期待する」と語りまし た。石田も同じ気持ちで、「世のリコーダー愛好者の皆さんとのうるわ しき共同」を夢見ているのです。  むろん、「もし」RJPが採算事業に成長することができた暁には、 ご協力いただいてきたサポーターの皆様には、それ相応のお礼をさせて いただきたいと思っています。でもそれは、本当に淡い「夢」です。 数年後に刊行開始したいと思い描いている「全集」の構想にしても、こ れをRJPの一大転機にして・・・という考えがあるのですが、いった いそんなものに本当に採算性があるのかといえば、正直、全くわかりま せん。多分、どうせ石田の考えることですから、採算性などないでしょ う。しかし、もうこれをめざすことはRJPにとっては言わばレーゾン デーテルであって、それぐらいのことをやるのでなければ始めた意味が ない。何が何でもやろうと思っています。  もしかしたら「全集」と言う資格はないので「選集」ぐらにするかも 知れませんけれども、とにかく何らかの形で「長期使用・長期保管に耐 える、もう少し丈夫でもう少し大きくて見やすく立派な体裁の、網羅的 なセットにまとめる」ことは、必ずやるつもりです。  つまり、今の伴奏CDブックは、いわば文庫本なのです。岩波氏は、 岩波文庫の意義について、こう語りました。「携帯に便にして価格の低 きを最主とするがゆえに、外観を顧みざるも内容に至っては厳選最も力 を尽くし」たものだと。  RJPの伴奏CDブックも、そうありたいと考えて、この仕様でご提 供を続けているのです。  皆様、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 -----------------------------------------------------------------  リコーダーJP メールマガジン                         026号 2005.2.20. ----------------------------------------------------------------- 編集・発行 リコーダーJP http://www.recorder.jp info@recorder.jp ※このメールマガジンは、お申し込みにより配信しています。もしも間 違いやいたずらの登録により配信がなされている場合や、購読を停止 される場合は、リコーダーJPダイレクトの皆様ならば、お手数ですが、  上記 info@recorder.jp まで「メールマガジン不要」などの題でメー  ルでお知らせください。「まぐまぐ」からお申し込みいただいた皆様  は、  http://www.recorder.jp/magazine_mag2.htm  から配信停止のお手続きをお願いいたします。 ※上記URLから「まぐまぐ」による配信がお申し込みいただけます。現在  リコーダーJPから直接ご購読いただいている皆様は、もしできました  ら「まぐまぐ」による配信へと切り替えていただけるとありがたく存  じます。お手続きは簡単です。なお、「まぐまぐ」による配信手続き  をしていただけたかたは、リコーダーJP info@recorder.jp へもご一  報ください。こちらからの配信を次の号より停止いたします。お知ら  せいただけませんと、「まぐまぐ」とリコーダーJPから、2通のメル  マガが届いてしまいますので、ごめんどうですがどうぞよろしくお願  いいたします。