ハイニヘン先生と通奏低音を学ぼう




 2022年に日本語訳が出た古典的教科書を使って通奏低音を学ぶ人のための資料集です。

 道和書院刊・久保田慶一編著・訳『ハイニヘン「新しい通奏低音奏法(1711年)」全訳と解説』を入手のうえご利用ください。


■はじめに 〜テキストについて〜

 ヨハン・ダーヴィト・ハイニヒェン (Johann David Heinichen)は、J. S. バッハと同時代にドレスデンの宮廷学長をつとめました。そして、28歳の時「新しい通奏低音奏法(1711年)」を執筆しました。

 この原書は「ペトルッチ楽譜ライブラリー(IMSLP)」から参照できますが、ドイツ語で書かれているため、これを使って通奏低音を学ぶには困難でした。

 ですが、2022年1月に道和書院より久保田慶一編著・訳の日本語版が出版されました。これで日本語で解説を読むことが出来るようになりました。
 
原書 訳書



■学習者のための見やすい譜例を用意


★原著の文字による右手音表記を、ふつうの楽譜に

 原著では、最初は下のように右手音をドイツ音名で文字で書いた楽譜があります。
 訳書でもこの記譜法が踏襲されていますので、これをふつうの大譜表(鍵盤楽器用の2段譜)に直したものを用意しました。




★原著の「ソプラノ記号」をト音譜に

 また、原著では途中から大譜表が用いられていますが、右手が「ソプラノ記号」で記譜されています。


 この記譜法も訳書は踏襲しています。そこで、これを下のようなト音記号とヘ音記号による大譜表に直したものを用意しました。




★現代記譜ルールを採用

 原著の楽譜は、当然ながら17〜18世紀の記譜ルールによっています。現代ルールとの最大の違いは、「臨時記号は原則としてその音だけに有効」であることです。ところが、ご存知のように、現代ルールでは「臨時記号は、小節内の後続音にも有効」です。

 現在、日本を含む各国で印刷出版されている現代譜はすべて「現代記譜ルール」によっていますので、ここでは現代記譜ルールを採用した楽譜としました。



■原典および訳書の譜例の誤りや疑問点を修正

 原典の楽譜は、残念なことにかなり間違いや疑問点の多いものになっています。訳者の解説によると、これは著者ハイニヘンが原稿を出版社に渡したなり校正を行わずに置いてしまったためだということです。

 こうした原著の譜例の誤りについて、日本語訳の出版にさいして修正されている箇所も多いのですが、残っている誤り・疑問点も少なくないうえ、むしろ原典の方が正しい(訳書の修正が誤りである)場合も散見されるように思います。

 そこで、ここではできる限りの修正をおこなった楽譜を公開しています。もちろん、なお残っている誤りや、私たちの修正こそが間違っているという箇所もあるかも知れません。お気づきの点がありましたら、ご指摘いただけましたら幸いです。

 参考:原典と訳書の楽譜の異同箇所や疑問個所等についての詳細コメント

2023年11月 RJPマネージャー  高橋たかね 


第1章 数字の無い低音に、さまざまな配置で三和音をつける練習
第2章 低音に書かれた数字を読み取る練習
第3章 左手が速く動くときとさまざまな拍子での練習
第4章 決まった低音をいろいろな調に移調する練
第5章 装飾方法を学び練習する

おまけ(5線紙)


 
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