テレマン
カノンによるソナタ 第1番 TWV40:118



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■カノンによるソナタ■
 テレマンの「カノンによるソナタ」は、彼の後半生にあたる「ハンブルグ時代」の作品。6曲から成っている無伴奏のデュエット集で、もとは横吹きフルートのための作品です。1737年、パリで作品演奏会を催して大成功をおさめた50台なかばのテレマンが、すかさず翌年にパリで出版したのがこの曲集でした。

 曲はパリで出版されているだけに、垢抜けた優美さ、気の利いたはなやかさをもち、すみずみまで魅力にあふれています。繊細な歌いかた、おどけたようなリズム感、重々しい表情、きっぱりした表情など、音楽的にも多種多様な表現がつぎつぎと繰り出され、演奏する上で工夫しがいのある曲になっているのも特長でしょう。そのうえ、もちろん第1リコーダーを演奏したときの「追いかけられる楽しさ」、第2リコーダーを演奏したときの「追いかける楽しさ」という、カノンならではの面白さもたっぷり味わえます。

 本作の原曲はト長調ですが、アルトリコーダーに合うように変ロ長調に移調編曲しました。


■各楽章について■

■第1楽章
 4分の6拍子というのは、多くのかたにとってちょっと馴染みがうすいかも知れません。8分の6拍子と同じように「3拍をまとめて1拍と感じる2拍子」というとらえかたが基本ですが、8分の6拍子に比べると「3拍子が二つくっついた」という感じが強いように思います。その意味では、1小節をふたつに分けて、3拍子で数えていってもそんなに悪くないでしょう。全体は3つの部分から成り、主テーマとサブテーマから成る第1部分(1〜13小節あたり)、短い第2部分(14〜19小節)、そして再現という構成になっています。最後は一瞬の明暗の交代があったり(29小節)、また3連符も登場したりして、まことに気が利いた楽しい音楽になっています。

■第2楽章
 独特なリズムを持つアダージョです。付点音符のリズムはかなり重く(つまり3:1よりも4:1に近い割りかたで)演奏すると感じが出るかも知れません。冒頭の音型は、低いほうの音がひとつの声部、高いほうの音でひとつの声部になっていて、ひとり二役です。


■第3楽章
 軽妙快活なアレグロです。リズム感よく、そして音にメリハリをつけて演奏すると、たいへん楽しい音楽になります。全体は「ロンド形式」で、主テーマが何度か繰り返されるのに挟まれて、少し別なテーマを持つ部分がふたつ置かれています。いわばA-B-A-C-Aという具合。Bに当たる部分は21小節から38小節までで、リズム感がすこし変わります(シンコペーションでなく「頭アクセント」の音楽になる)。Cにあたる部分は59小節から79小節までで、ここは短調になってすこし音楽が暗くやわらかみを帯びます。短調の部分が終わってすぐにテーマが戻るのかと思うと、1小節のつなぎが挟まれる「楽しい予想の裏切り」があるあたりも大家の風格で心憎いばかり。すみずみまで楽しめる傑作です。

2004. 4. 27.
2023. 9. 7. 改稿


※ 演奏例がお聴きいただけます

■リコーダーによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
※リコーダー演奏: 早川廣志



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