「いい曲なんだがなぁ・・・あんなに速く吹けないもんなぁ・・・」という皆さんに

リコーダーJPからの大胆(?)なご提案です。


難しい曲は、ゆ〜っくり演奏しちゃいましょう!



●難しい曲って、いっぱいありますよねー

 バロック曲には、テレマンのソナタをはじめ、目にも(耳にも?)止まらぬ速いテンポで演奏するのが普通になっている曲(楽章)が、たくさんあります。ヘンデルのソナタは比較的やさしいということになっていますが、それでも、アレグロ(快活に)やプレスト(速く)という指定になっている楽章は、むずかしくて手こずるかたも少なくないでしょう。

 こういう曲を、プロの奏者やじょうずなアマチュア奏者のかたが演奏される時と同じようなテンポで演奏しなければならないとすれば、リコーダーを始めてまだ間もないかたにとっては、なかなか手が出せない難曲ということになりますね。

 しかし、実は、そんなことはありません。速く演奏できないと思ったら、ゆ〜っくりとやればいいのです。

G. Ph. Telemann(1681-1767)



●かなりゆっくりでも、自分にとっては十分に速い

 ふつう四分音符=120/分ぐらいの快速なテンポで演奏される難しい曲でも、たとえば四分音符=80/分ぐらいの、ごくゆっくりなテンポにしてしまえば、私たちのようなあまり上手でないアマチュア奏者にも、何とか演奏できる曲になる場合が、よくあります。

 リコーダーJPは、そのために、非常にゆっくりな伴奏までご用意しています。

 「そんな無茶な。それじゃまともな音楽にならないだろう」とお考えでしょうか?

 そんなことはありません。音楽のテンポというのはかなり相対的な性格が強いもので、演奏している人にとって技術的にギリギリに近ければ、少なくとも演奏している人自身にとっては、十分に快速なテンポの音楽に感じられるものです。



G. F. Handel(1685-1759)

●ゆっくりやっても名曲はやっぱり名曲

 それに、よくできたクラシック曲は、指定よりもかなりゆっくりと演奏したって、曲の良さはそれなりに十分に出てきます。音楽として内容がしっかり作られている曲は、テンポが指定よりもうんと遅くても、そのテンポによる演奏なりの面白さが、たくさんあるのです。それどころか、快速に演奏していたのではよく感じられない別な魅力が輝いてくることすら、けっして珍しくはありません。

 そのあたりの事情をよくわかっていて、普通の人とはまったく違うテンポをわざと選んで演奏するのを好んだ天才ピアニストとして、グレン・グールドというカナダの鬼才がいたことを、ご存知のかたも多いでしょう。ですから、プロ奏者が普通採用しているテンポよりもはるかにゆっくりな演奏でも、それなりの面白さ・美しさを発揮している演奏ならば、小演奏会で発表したって、いっこうに差し支えありません。きっと、あなたの楽しさは、聴いてくださる皆さんにも伝わります。



●大作曲家たちだって、喜びます

 考えてもみてください。みんなに演奏して楽しんでもらいたいと思ってリコーダー曲を書いた、ヘンデルやテレマン、サマルティーニやルイエなど、バロック時代の作曲家たちは、「これ以下のテンポでしか演奏できないような人には演奏してもらいたくない」などと思いながら曲を書いたでしょうか? 

 あるいは、今、もし彼らが生きていたとして、「そんなゆっくりしか演奏できないのならやってほしくない」なんて、言うでしょうか?

 絶対にそんなことはありません。彼らは、あなたが、ゆっくりなテンポで、しかし真摯に、作曲者への感謝の気持ちをこめながら演奏し、身近な人といっしょに楽しんでいるのを知ったら、きっと大喜びに喜んでくれるはずです。

 作曲家というのは、自分の音楽を、楽譜に書きつけて公表したとたんに、もう作品は自分の手を離れて一人歩きするものだ、ということを十分に覚悟して作品を書いているものです。そして、「これをもとに、どんな楽しい音楽演奏、自分も思いもよらなかったような、どんな美しい音楽演奏が生まれてくるのかな」と、楽しみにしているものなのです。

 現代のリコーダーを愛するアマチュア奏者が、なるほど作曲者が想定していたテンポよりもずいぶんゆっくりなテンポであるにせよ、自分なりに精一杯の演奏をして楽しんでいる。それを、天国の作曲家たちがもし耳にしたとして、それを嬉しく感じないようなバロック作曲家は一人もいない、と、私(筆者=石田誠司)は作曲家のはしくれとして、断言します。

J. S. Bach(1685-1750)


●さぁ、遠慮はいりません

 天国にいるヘンデルだってテレマンだってバッハだって、あなたが作品を演奏してくれるのを楽しみに待っているのです。自分に可能なテンポ、自分に楽しいと思えるあなたなりの「快速なテンポ」で、演奏してお楽しみください。

 そうすれば、どんな「あこがれの難曲」だって、あなたのレパートリーになるのですから。




なお、このご提案については、

こちら(「音楽におけるテンポの役割」)

も、よろしければごらんください。


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