リコーダーJP トッファム作品


ソナタ 第9番 ニ短調


全曲ノーカットで試聴できます
(YouTubeのリコーダーJP応援チャンネル「リコーダーの底力」)

★この曲を収録したCDつき楽譜★
ダウンロード製品 620円(税込)



★解題★
 トッファムの作品1は1701年、作品2は1706年にロンドンで出版されたもので、どちらもアルトリコーダーソナタ6曲を収録しています。そして、これら12曲をまとめたものがのちにアムステルダムで再版されました。

 ここで「第9番」としたのは、「作品2-3」のソナタです。


★解説★

 4つの楽章から成っています。フーガの手法を駆使した対位法的な味わいが強く、また随所に斬新な試みもあって、短いながら充実した傑作です。

 第1楽章はグラーヴェ(重々しく)、4分の4拍子です。いきなり高い音域から歌い出し、なだらかな下降線を描きながら進む主題で始まります。やがて、ぶきみな和音進行で半音階的にずり下がっていくフレーズが強い印象を残します。「p」が指定された最後の数音では、何とか「弱音用指づかい」を工夫したいところでしょう。

 第2楽章はアレグロ(快活に)と指定され、4分の4拍子のフーガです。リコーダーが示す鮮烈な印象の主題提示に、低音がいきなりストレッタで応答する緊迫した開始から、ゆるみなく進んでいきます。2度目の提示−応答の後、低音が口走る短いモチーフをリコーダーが拾い上げて高らかに奏し、収束に入ります。

 第3楽章はラルゴ(広々と)、2分の3拍子です。開始小節1拍目は低音がニ短調の主和音を弾きますが、2拍目から始まる主題は明らかにヘ長調で始まっている(間もなくニ短調に転じますが)という、独特な開始です。比較的狭い音程のあいだで歌い継ぎながら、しだいに高まっていき、やがて2度の「フェルマータつき休符」が強い印象を残します。さらにかなり緊張の強いクライマックスを築いてから収束に入ると、効果的な「ナポリ6」を経たうえ、最後の終止カデンツでドッペルドミナント和音を用いるなど、最後まで趣向を凝らしています。

 第4楽章は4分の6拍子で、発想指定がありませんが、軽快快速な音楽でしょう。リコーダーの主題提示に低音が同じ調で応答する方針のフーガとして書かれており、主題提示はニ短調、ヘ長調、イ短調、ニ短調と4度行われます。顕著な特徴はリズムにトリッキーな工夫がふんだんに盛り込まれていることで、もしかすると、「初見で通してごらん、できたら偉い!」という、英国紳士への挑戦なのかも知れません。絶品の終曲となりました。


※演奏例がお聴きいただけます
■リコーダーによる演奏
第1楽章(B−2)
第2楽章(C−1)
第3楽章(A−2)
第4楽章(B−2)

 ※カッコ内は指回り難度です。
 ※リコーダー演奏: 石田誠司  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司



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