リコーダーJP G. サンマルティーニ


ソナタ ニ短調
シブレー写本 第19番


全曲試聴動画
RJP応援チャンネル「リコーダーの底力」

★この曲を収録した伴奏音源つき楽譜★
ダウンロード製品 620円(税込)
2349 リコーダー用 1800円+税



★解題★

 サンマルティーニの通奏低音つきソロソナタばかり27曲を集めた、「シブレー写本(Sibley Manuscript)」と呼ばれる筆写譜があります(ロチェスター大学所蔵)。このうち15曲がリコーダー用のソナタで、最大の数を占めています。(ほかはオーボエ用、ヴァイオリン用、横吹きフルート用など。)

 サンマルティーニのリコーダー用ソナタの出版作品はあまりたくさん残っていませんので、これが貴重なソースになっています。


★解説★

 3つの楽章から成り、力強く輝かしい傑作です。

 第1楽章はアレグロ・ノン・タント(やや快活[快速]に)、4分の3拍子です。力強いテーマで始まる第1主題部は緊迫感に満ちています。決然とした3小節のモチーフに続き、「頭欠け下降音階」が歌われ、これが楽章全体を通じてさまざまな表情をみせながら重要な役割を担います。平行長調(ヘ長調)に転じて第2主題部は対照的に伸びやかな魅惑に満ちていますが、ここでも「頭欠け下降音階」がきかれます。繰り返しのあと後半は、新しいリズム型も取り入れながら圧倒的な高揚をみせます。後年の「ソナタ形式」なら「再現部」に進むところですが、ここではこの後も主題がはっきりと再現されることなく進み、やがて収束に入ると、フェルマータにより一呼吸を置いて気息を整えて(あるいは華やかなアドリブをあしらって)からしめくくります。

 第2楽章はアンダンテ(歩くように[ゆっくりと])、変ロ長調で、4分の4拍子です。付点リズムと三連リズムをまじえながら下降音型を中心に形成されたやすらかな感じの主題で始まります。実はこの主題には第1楽章の主題と共通する音程関係が含まれており、全曲の統一性を強める工夫が隠されています。細かな音符まで駆使してきめ細かく歌っていき、前半にもかなり力強いクライマックスがあります。後半に入ると間もなく前打音的な三連符に続いていきなり「減七の和音」を叩きつけ、ニ短調からイ短調・ト短調へとめまぐるしく移りながら激しい感情をほとばしらせますが、やがて明るんで静まった部分の夢見るような美しさも絶品です。最後は前半の収束部分を再現しながらしめくくります。

 第3楽章はアレグロ(快活[快速]に)、4分の2拍子です。第1楽章の主題から抽出された、決然とした主題で始まります。スピード感あふれる推移部では、さまざまなリズム型や音型を次々に導入していきます。やがてヘ長調の第2主題部に入ると、ここではもっぱら三連リズムで音楽を繰り広げます。後半に入ると、前半部で示した素材を縦横に駆使しながら密度高く展開を行います。そして第1楽章と同様に主題の再現は行われないまま、やがて三連リズムの音楽になると、それが合図であったかのように収束に入っていきます。


※演奏例がお聴きいただけます

第1楽章(C−2)
第2楽章(C−1)
第3楽章(C−2)

※カッコ内は指回り難度です。
※リコーダー演奏:
石田誠司  チェンバロ演奏: 石田誠司 (使用楽器はRJP所有のデジタルサンプリング音源)


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