リコーダーJP ビガリア作品


アルトリコーダーソナタ
ヘ長調 作品1-12


Youtube のRJP応援チャンネル「リコーダーの底力」より
全曲の演奏(ノーカット)の試聴ができます。


★この曲を収録したマイナスワン音源つき楽譜★
ダウンロード製品 620円(税込)
2344 リコーダー用 1800円+税


★解題★

 ディオジェニオ・ビガリア神父の12曲から成る「ヴァイオリンまたは flauto と通奏低音のためのソナタ集」が、「作品1」として1722年ごろアムステルダムで出版されました。タイトルにある「flauto」は、この場合は、どうやらリコーダーと横吹きフルート(フラウト・トラヴェルソ)の両方を念頭に置いた言い方だったらしく、全12曲のうち、番号で言うと第3、4、6、9、10、12番にあたる6曲のソナタが、音域や調性からみてアルトリコーダー用で、他の6曲はフラウト・トラヴェルソ用とみられています。

 しかし、第11番もアルトリコーダーの音域外の音がほぼ含まれておらず、アルトリコーダーでの演奏も十分可能です。


★解説★

 本作は最後の第12番で、曲集の最後を飾るにふさわしい秀作だと思います。

 第1楽章はグラーヴェ(重々しく)、4分の4拍子です。通奏低音に促されるようにしずしずと、つぶやくように始まり、付点の跳ねるリズムで急速に力を増してハ長調に終始する第1フレーズ、山形のモチーフでしだいに競りあがっていきニ短調に終始する第2フレーズ、そして最初のモチーフを再現して収束に向かう第3フレーズと短い終結の句があるという構成です。珠玉のような開始楽章となりました。

 第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の2拍子です。きっぱりとした感じに始まって、16分音符でジグザグに下る重要なモチーフが続きます。全曲にわりこのモチーフが大活躍する運動性に満ちた楽章です。また、低音が同音を連打する上でくりひろげられる切迫感に満ちたせり上がりも強く印象に残ります。

 第3楽章はアフェトゥオーソ(愛情深く)、4分の3拍子です。1小節からいきなり「ナポリ」の和音が切なく響き、増音程の進行も効果的に取り入れて哀切に歌い進めます。終わり近くで「ナポリの付加6度の和音」とでも呼べばいいのか、何とも不思議な感じの下行分散和音が2度繰り返して奏でられるのが、忘れられない印象を残します。

 第4楽章はヴィヴァーチェ(生き生きと)、8分の6拍子です。躍動感あふれるすばらしい終曲で、16分音符で始まって途中から32分音符になる装飾的な上行音階があちこちで用いられているのが特徴のひとつです。ただ、問題は16分音符のあいだはスラーがかかっておらず、途中32分音符になってからスラーが始まるように印刷されている箇所が(とくに楽章前半に)多いことです。常識的にはこのような装飾的音階は全体を一息で一気に行きたいところでしょう。本曲集は、全体としてはなはだ疑問点の多い出来の楽譜ですので、これも印刷段階の間違いなのかも知れません。


※ 演奏例がお聴きいただけます

第1楽章 
第2楽章 
第3楽章
第4楽章
B2
C2
B2
C3

※A1〜C3で示したのは「指回り難易度」です。
※リコーダー&MIDIチェンバロ演奏: 石田誠司


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