リコーダーJP J.S.バッハ作品


ソナタ ロ短調 BWV1030


全曲ノーカットで試聴できます
(YouTubeのリコーダーJP応援チャンネル「リコーダーの底力」)


★この曲を収録したCDつき楽譜★
1020 リコーダー用 2800円+税
SR-024 リコーダー用 3800+税
ダウンロード製品(リコーダー用) 1240円
SF-001 フルート用 1800円+税
SF-024 フルート用 3800円+税
ダウンロード製品(フルート用)

RB-009A リコーダー用 イ短調版  945円 
絶版

RB-021 リコーダー用 ハ短調版  945円 絶版



★解題★

 フラウト・トラヴェルソ(フルート)とオブリガートチェンバロのためのソナタで、バッハ自筆の美しい浄書譜が伝わっています(もちろんファクシミリによる自筆譜をリコーダーJPも参照しました)。1717年から1723年、バッハがケーテンの宮廷に仕えていたころの作品だろうと言われています。ただ、当初はト短調の曲として書かれ、のちにロ短調に直されたものであることが知られています。


★解説★

 これは古今のあらゆるフルート曲の中でも最高峰と見られる名曲中の名曲です。第1楽章の、哲学的とでも呼びたいような何とも言えない気高い精神性、第2楽章の底知れないほど深くて清らかな瞑想、第3楽章の、厳しく透徹した情緒・・・そして、曲の規模も大きく、内容がぎっしりと詰まっていて威容を誇る姿と、どこから見ても圧倒的な作品です。

 曲は3楽章からなっています。

 第1楽章はアンダンテ。アンダンテというのは、古典派以後の時代にはかなりゆっくりな曲というイメージになりますが、バロック時代には、急がないというだけで、けっしてゆっくりな曲ではなかったようです。この曲の場合も、つねに着実に前に進む感じがあります。演奏してみると、いくつかの主なモチーフがいろいろ手をかえ品をかえ、ずらされたり組み合わされたりして構造的建築的に音楽が作られているようすがよくわかるのですが、音楽全体のドラマチックな歩みの一方で、こういう複雑で細やかな要素が常に折り込まれているので、作品の味わいは複雑極まるものとなるのです。

 第2楽章はラルゴ・エ・ドルチェ(幅広くゆるやかに、静かに)と指定され、本当にこれ以上清らかな音楽というのがあり得るのだろうかと思わされる清浄さで音楽が進みます。全体はわずか16小節(繰り返しを行っても32小節)にすぎないのに、そこには静かな悲しみ、強い悲しみ、慰め、静かなあきらめ、不安と平安・・・と、心のドラマが、ごく控えめにではありますが、実に確かな手応えのある内容として表現されていて、・・・いや、まったくすばらしい曲です。やさしい曲ですから、中級者のかたにもぜひお勧めしたい絶品。

 第3楽章は一転してプレスト(急速に)となり、驀進するようなフガートで始まります。目もくらむスピード感、そしてゆるみのない緊張感。それがフェルマータで小休止すると、今度は16分の12拍子の音楽に入っていきます。ざっ、ざっ、と地面を踏みしめて歩いていくかのような規則正しい音楽の歩みに乗って、シンコペーション(音符どうしが通常の拍どおりでなくつなげられたりすることによって起こるアクセントの移動)を駆使した躍動感のあるメロディーが歌われていきます。情緒的には、短調ですから明るくはありませんが、しかし、歩みが確信に満ちていて、たいへん強い意思を感じさせます。そして、そのまま、音楽はついに最後まで寸分のスキも緩みもなく、けだかい精神を歌い切って終わるのです。

※ 演奏例がお聴きいただけます

■リコーダーによる演奏(ハ短調)
第1楽章(C−2)
第2楽章(B−2)
第3楽章(C−2)
※カッコ内の表記は指回り難度です
※リコーダー演奏: 庭野宏樹さん  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司


■フルートによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
※フルート演奏: 大塚由貴  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司


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